あべこべ国
- Nobuhide Kido
- 5 時間前
- 読了時間: 2分
あるところに1人の子供がいました。その子の住む国では小さいころから次のような迷信が広く信じられていました。
「いい学校に入り、いい会社に入って、お金持ちになれば、人生を幸せに生きられる」
その子も当然のようにこの話を信じて、子供の頃から努力をしました。勉強は苦しいものでしたが、努力を続け、いい学校に入りました。将来たくさんのお金を稼げるようにと、専門家の資格も取りました。そして、みんなが羨むような会社に就職できました。
「さてこれで一安心」
その人はそう思い、何年か働きました。ところが、どうも様子がおかしいのです。専門家の資格を取ったのに、専門家としての仕事がなかなかありません。そのせいか、お給料も増えません。いつまで経っても幸せが実感できません。
「きっと自分の努力が足りないから、お金持ちになれないんだ」
と思い、一生懸命に働きました。仕事は苦しいものでしたが、みんなもそうしています。お給料は少しずつ増えていきましたが、どうも幸せが実感できません。
苦しい日々が続き、もっと仕事を、もっとお給料を、と頑張れば頑張るほど、幸せの実感は霞のようになり、しまいには体が動かなくなってしまいました。
その人は床に伏しながら「なぜだ」と毎日自問しました。
ある時、夢の中に1人の老人が現れました。
「笑門来福!」
それを聞いてその人は
「幸せだから笑うんでしょ」
と感じたままを答えました。すると老人は
「はーーっ、はっはっはっは。それはお前さんの考え方の癖だな。逆じゃよ、ギャク!」
と大笑いし、夢から消えました。

その人は老人の言葉を何度も思い返しました。そして3年程経ったある日気づきました。
「そうか、全てが逆なんだ。生きていることが幸せで充実してれば、夢がもてる。頑張る力もでる。勉強や仕事は苦しくない。だから続けられる。そしたら専門家とみなされる。あとは運が良ければ少しくらいお金持ちになれる。そういうことだったんだ」
その人は死ぬ前にそのことに気づけて良かったと思いました。まだやり直せるからです。



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